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「3次元リアルタイム磁場解析ソルバーQm」のQ&A形式の補足説明です。 弊社サポートなど全般に関するものはサポートのページをご覧下さい。
- Qmでいうリアルタイムとは?
計算中でも、ソルバーのコントロールができることと、計算結果が逐次ビューに反映されることを指しています。非線形解析の時、
計算を止めることなくビュー操作して計算中の結果を確認し、途中で停止することができます。 マルチスレッドを用いることで実現しています。
- バッチ処理による連続自動計算はできますか?
Professional版でできます。
- 解析手法は?
マックスウェルの方程式を積分形から解く積分方程式法(磁気モーメント法)です。 微分方程式法である有限要素法と比べて、
空間メッシュなしに(空間を含めた)解析ができるというのがこの手法の最大の特長です。 こう言いますとよく勘違いされますがBEM(境界要素法)ではありません。 (BEMは非線形計算ができません。) 境界条件を与えなくても無限遠の条件を満たしています。(あると便利な鏡像・周期境界条件は使用できます。) 手法自体は有限要素法より、歴史が深いのですがプログラム化には精度良く積分するのに注意が必要です。Qmではセルのモデルを工夫することにより、高速・高精度を実現しています。
- 従来の解析手法との違いは?
Qmは、精度を落とさず速く計算する工夫がなされてます。 モデルは要素ではなく、セルと呼ばれるオブジェクトとして独立性の高い、
インテリジェントな機能を持つ単位で作成します。 例えば、ある種のセルは、それ自身が持つの変数の数が一定ではなく、条件によって自動的に変化する場合があります。
セル:生物の細胞のようにコアがあり、DNAに相当するインテリジェントな機能を持つのでこう呼んでいます。プログラミング・パラダイムからは、オブジェクト指向用言語の特性を活かした
解析手法です。
- 動解析で複雑な動きや、電流値の変化の入力などはどのようにするのでしょう。
Qmの特長の一つとして、数式入力に近い入力関数の機能があります。一例を「時系列関数の記述法」に示します。これによって複雑な運動や外部磁場・電流値の変化などが容易に入力できます。
- 解析精度は?
電気学会のベンチマークモデル等でも優秀な結果を収めております。
評価版ダウンロードページにある「Qm初歩からの磁場解析(動解析編)」に、計算例を掲載しております。 お客様個別の具体的事例につきましては、評価版が無償でダウンロード(サンプルデータ付き)できますのでお試し下さい。
- 解析結果のグラフは描けないのでしょうか? 他のソフトとの連携はできるでしょうか?
ソルバーに時系列グラフ・空間分布さらに複雑で動的なヒステリシスなど描くことのできる時系列XYグラフを描く機能があります。
また、他ソフトとの連携としては、CSVとXML ファイルのエクスポート機能がありますので、Excel 等を使って簡単に処理できます。 XMLを使えば、解析結果のデータベースでの管理も容易です。 また、入出力ファイルはリスタートを含めすべて可読性の高いテキスト形式ですべてオープンですので、ハンドリングが簡単です。
Qmは出力で三つのファイルフォーマットをサポートすることになりますがそれぞれ次ような特徴を備えています。
(1)Qot オリジナルフォーマット: FORTRANなどで読込みが簡単なフォーマットです。
(2)CSV フォーマット: Excel などでグラフ化するのに最適です。
(3)XML フォーマット: 今流行のフォーマットです。あらゆるアプリケーションでサポートされつつあります。 可読性が高く拡張性・可搬性そなえ、かつデータベース的論理構造を持たせることができます。XSLTを使えばブラウザ(プログラムなし)で表集計・グラフ化などもできるのもXMLの人気の1つです。
- 磁気力・トルクの計算をしたいのですが?
任意の空間を囲んで磁場応力(マックスウェルの応力)を計算する機能があります。 応力面を与えれば計算用のメッシュ分割は自動で、合力・トルクも自動計算されます。
- どのような応用分野があるのでしょうか? 導入することにより、どのような効果があるのでしょうか?
応用範囲は、基本的に電気または磁石を利用するところでは、すべて関係してきます。 従いまして、かなりの広範囲の産業(電気・電子・精密・機械・土木・建設・自動車・原子力・エネルギー・環境・資源探査・医学・・・あらゆる製造業・分野)で利用されています。
導入効果として、
・製造業におきましては、開発・設計のサイクルの短縮・試作削減・最適化による高コストパフォーマンスの獲得(他社との差別化)があります。
・非製造業におきましても、いままでわからなかった直接計測することができない現象のメカニズムの解析・定性的定量的裏づけ・オペーレーション最適化・教育等により、質の高いサービスが提供できるようになります。
- 汎用ソフトといっても、実際にはユーザの分野で特定目的の問題を解いたり、機器を設計・開発することがほとんどだと思います。 汎用ソフトであるQmを利用するには、中途半端になりはしないでしょうか? また、価格的にも他社より随分安いQmは性能が劣るのではないでしょうか?
解析目標という点につきましては、磁場計算が基本とというところで他の高価なソフトを含めて同じです。 もちろん解析を端折って簡易計算しているわけではありません。 磁場解析では、精度の悪い結果はナンセンスです。
(この説明につきましては、「電磁場解析へのアプローチ」をご覧下さい。) ですから、後は、他のソフトと連携、とりわけ、入出力の利用しやすさが問題となります。 Qmはテキスト形式・仕様はオープン(これらの情報は事前に入手可能)であり、CSV、XMLへエクスポート機能を 持っていますので他のソフトとの連携が容易です。
Qm全般の性能にしましても、お客様自身の手で評価版、あるいはQmのLight版で、他社ソルバーで計算したモデルと同じ問題に対してご利用いただければご確認できます。 ハイエンドデスクトップPCとQmのPro版を使用すれば、500万円〜1,000万円近くする価格のソフトに匹敵あるいは凌駕するパフォーマンスが得られることを確信しております。
もちろん、それぞれの分野への応用・ノウハウがありますので、モデルの構築等(特に初期モデル)のお手伝いも可能です。
- 磁場解析で、抱えている問題があるのですが相談できますか?
お気軽にE-mailでご相談下さい。 30年近く磁場解析の経験を持つスタッフがお答え致します。
- 32bit版と64bit版の違い、またはOSとの組み合わせを教えて下さい。
QmVer.5.0.24 及び P Ver.5.0.600 以降は64bit版のみになりました。
また、対応OSも Windows 10 64bitのみです。
QmVer.3.0 はLight版・Professional版どちらの場合も、32bit版・64bit版があります。ご導入時に選択していただくことになります。以下にOSの対応状況を示します。
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OSのbit数 |
Qm Light
32bit |
Qm Professional
32bit |
Qm Light
64 bit |
Qm Professional
64bit |
Windows 7 Home Premium
(SP1以降) ※1 |
32bit |
○ |
○ |
× |
× |
64bit |
○ |
○ |
○ |
○ |
Windows 7 Professional
Windows 7 Ultimate
(SP1以降) ※1 |
32bit |
○ |
○ |
× |
× |
64bit |
○ |
○ |
○ |
○ |
Windows 10 ※2 |
32bit |
○ |
○ |
× |
× |
64bit |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
◎推奨 ○動作 ×動作不可
※1 Windows 7はMirosoftからの(2020年1月14日以降)サポート終了に伴い動作保証できなくなりました。
Windows 8には対応していません。
※2 Windowsの設定によりドラック&ドロップができない場合があります。
32bit版の場合、Light版・Professional版いずれの場合も、アプリケーションメモリサイズが2GBまでに制限されております。これはOSの制限です。できるだけ、64bit OSを使用するようにして下さい。
- Qm 64bit版のメリットを教えて下さい。
64bit版は何よりもその広いメモリー空間にあります。それだけ大規模計算が可能であるということになります。特にQmの場合、リアルタイム性を重視していますので、メモリー内に多くの情報を保持しています。
また、64bit演算が基本のQmでは、ネイティブで計算できますのでその64bit CPUの高速性を享受できます。
- QmVer.3.0 の Qm 32bit版と64bit版で精度の違いはありますか?
いいえ、違いはありません。32bit版でも、Qmはもともとすべて浮動小数点演算は倍精度(64bit)で計算を行っています。
- Professional版とLight版の違いをまとめて教えてください。
Light版は価格を下げた普及版です。 Professional版と比べて以下の 機能が制限されてます。 いずれも主に大規模計算での使用を想定した
Professional版の機能が省かれています。 評価版はLight版ですので付属のサンプル等でご確認ください。
(1)計算できるマトリックスサイズが制限されています。
従いまして、Light版では透磁率の変化の激しい非線形モデルや形が複雑なモデルを計算することはできません。
具体的なサイズにつきましてはソフトウェアの「メニュー」→「バージョン情報」のダイアログボックス上方の 「未知数上限 = xxxxx」の数値をご覧下さい。
なお、ハードウェアの発達や価格等の諸事情により具体的な数値が予告無く変更される場合がありますので、ご了承お願い致します。
現在は 未知数上限 = 600です。 この未知数がどの程度のモデル規模に なるのかは、使用するセルの種類と数によります。評価版ダウンロードページにある「Qm初歩からの磁場解析」 見ていただきますと少ないセルでかなりのモデルの計算ができることがわかります。
Qmは空間メッシュはいらない、電流セルはいくらあっても未知数が0 など・・・ということから FEMでいう要素数と比べるとかなり少ないセル数で実用になるのですが、単純に比較することはできません。
しかし、かなり乱暴な比較ですが敢えて書きますと、Qmセル1つはFEMの10〜1000要素 に相当する場合があります。要素(element)ではなくセル(cell)と呼ぶようにしている理由にもなっています。
(2)バッチモードが使用できません。
バッチモードは、一度にたくさんのモデルを解きたいときや、長時間無人計算用です。 バッチモードで画像キャプチャをスケジューリングできる機能もあります。
(3)計算できるタイムステップ数に制限があります。
Light版では、0〜60タイムステップまでです。 Professional版では、メモリーの許す限りタイムステップを多く取れます。
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